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「「………」」

完全にラブラブモードに入っている二人を見て、俺と亮は何も言えずに立ち尽くしていた。

(…これは…声を掛けるべきか？ 出ていくべきなのか…？)

どうするべきかわからず困惑していると、黒澤さんが気づいて、境から離れた。

「すみません…つい…」

「あっ…いえ…」

(謝られても困る!!)

俺が戸惑いつつも返答していると、亮が割り込んできた。

「黒澤…お前、謝っただけで済むと思ってるのか？」

「…いえ…どうぞ好きなだけ殴って下さい…」

黒澤さんはそう言うと、静かに目を閉じた。

しかし、亮は殴ろうとはせず、続けて声を掛けた。

「いや、殴りはしないよ。　今まで世話になったからね。 だから…」

「…亮？」

(何する気だ？)

亮はにっこり微笑むと、言葉を続いた。

「この家から出ていけ。　お前の好きな所へ行っていい。
…海のそばでも、山のそばでも、好きな人のそばでも…」

黒澤さんは驚いて亮を見た。
亮は優しく微笑んだまま境の方を向き、「な？」と問い掛けた。
境は突然尋ねられて、少々驚いたようだが、すぐに頷いた。