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「…ん…ふっ…」

ようやく亮が唇を離すと、銀の糸がひいた。

「なに…すんだよ…」

「ん？ さっき見せつけられたからお返し。」

その言葉に二人を振り返ると、顔を真っ赤にした境と、少しムッとしたような表情の黒澤さんがこちらを見ていた。

すると、黒澤さんは再び境を引き寄せてキスを落とした。

「んっ!! ふっ…臣…ッ…」

唇を離すと、黒澤さんは亮に挑戦的な笑みを浮かべた。

(…嫌な予感がするのは…俺だけですか…？)

一人不安になっていると、境と目が合った。

…どうやら、俺と同じ事を思ってるらしい…

そして、その予感は的中した。

「お前…俺に対抗するとはいい度胸だな？」

「坊ちゃまこそ、大人に対抗するなんて、いい度胸してますね？」

互いの言葉が頭にきたのか、口論が始まった。

「雇い主の息子に喧嘩売るなんて、この後どうなるかわかってんのか？」

「私はもう辞めるのですから関係ありませんよ。」

なんだかエスカレートしそうなので、俺と境は目配せすると、二人から離れ、歩み寄り、二人に聞こえないよう小声で話し始めた。