恋ばか
第9章 ~婚約~
「…なんでそんなに機嫌悪いの?」
「…別に…」
俺は小さくため息をつくと、空を見上げた。
空は雲一つない快晴で、青く澄んでいた。
「…春架って誰?」
「え?」
突然の問いに驚いて亮を見ると、怒ったような、不安そうな顔をしていた。
「なんで…その名前知って…」
「これ。」
そう言って、俺の携帯を差し出してきた。
受け取って開くと、春架から着信履歴があった。
「…さっき玄関で落として行った…拾おうとしたら、ちょうどかかってきて…」
…なるほど…それで開いたら、春架の名前が表示されていたのか…
「…もしかして…怒ってる理由ってそれ?」
「…うん…」
そう頷く亮が愛しく思えて、満面の笑みを浮かべると、触れるだけのキスをした。
「それって妬きもち?」
「…知らない…」
照れて、少し目をそらす亮が可笑しくて、思わず吹き出してしまった。
「なんだよ…?」
「ご、ごめん…何でもな…」
大笑いしている俺を見て、何を思ったのか、亮は急に抱きしめてきた。