テキストサイズ

さくらさく

第7章  6*祐樹の過去1st*

母さんはたまにおかしいと感じているようで、

「どうかした?」

と聞いてくる。

そのとき俺は、

「何もないよ?」

と偽物の笑顔で言う。

近所の人には、

「よく笑う子になったわね。」

と。

笑ってる?

俺、笑ってないよ。

大人がそう思ってるだけだ。

そのことに気づいたのは親友の日向だけ。

最近付き合いが悪くなったと言われた。

そして俺はお決まりの笑顔で、

「気のせいじゃない?」

と言った。

「オレを騙せると思ってる?」

怖かった。

普段優しい日向が、俺を睨む。

「オレを信じれないのかよ…」

悲しそうに俺を見る。

「…っ」

何で日向が泣きそうなんだよ。

俺なんかのために泣きそうになってるんだよ。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ