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どらくえ3

第8章 ロマリア

アベルとリサは顔を見合わせて1階に降りてみることにした。

腹の虫には勝てないのだ。

そーっと、足音を忍ばせて降りる。

そーっと、1階の様子を顔だけ出して覗き見る。

「…うげっ?」

しーっ!

あれは、さっきのタンクトップの兄ちゃん?

お、おばちゃん?
じょ、女装か?

「あ~ら、起きたのね」

見つかった!

「いまご飯出来るから」

…まじでか。

これは、もう開き直るしかない。

「あの~、いったい、どういう……お、おかま?」

「あらやだ、気づいちゃった?」

「やあね」

二人いる~。

「ママってよんでね」

…っぐ。

「アベル~あたしもう我慢できない…」

「だよな、リサ、気持ち悪いよな…」

「ううん…もう…おもしろすぎて、我慢できない」爆笑

…ええっ?

「ちょっとそこの小娘!笑うなんてレディに失礼よ?」

「レディって…くくくかかかっ…」

やばい、リサは笑いすぎて引き付けを起こしている。
「失礼ね、もう!」

ママとは別の兄貴がぷんすか怒るのを、ママがなだめる。

「まあまあ、目覚めてこれじゃあ驚いても無理ないわ。ごめんね」

「い、いや、まあ」

「ぶひゃひゃひゃ…」

「リサ、頼むから落ち着け」

ママが言う。

「私とこっちのミーナは見てのとおり、おかまなの。騙したわけじゃないの。うちのおもてなしは他の宿に絶対負けないから」

…う、うーん。そう言われても。

「わかったわ。取り敢えず、食事をしてから考えてみて?もう作ったから、気に入らなくてもお代はいらないわ」

「そこまで言うのなら…」

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