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恋心

第20章 不器用なキス

彼の身体に乗るような感じで
倒れた…

『蘭子さん。棄てないで。』


かすれた声が耳奥に響いた

額を合わせ


『いつまでも、居てもいいけど
家族に連絡だけはしなさいな。』

蘭子は、笑顔で彼の頬にキスをして
肩に手を置いて立ち上がった。

『うん…ありがとう。』
また、かすれた声が
小さく宙に浮いて消えた。


キッチンに立ちながら
温かな玉子粥を作り


彼を椅子に座らせ

この部屋で初めての二人の食事を
始めた。

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