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恋心

第9章 満たされた月

千鳥足で、マンションに着くなり
玄関にほおりだした彼を見た

「まぁ。物を取られたりしないだけましかな。」

と 言い残し、ベッドへ眠っていた。



数時間がたち


「あ…あ」


「あ…ぁ…の」

揺さぶられた腕を払いのけ


起き上がった

「なに?…なんなの?」
寝ぼけながら言い返した。


男が、オドオドしながら
「あの…ですね。昨夜…迷惑…かけてしまったようで…すいません。」

キョドりながら頭を下げた。
とたんにエバンの人形が落ちた…

最速に拾い上げ
低姿勢のまんま 後ずさりをして
玄関から消えた。


「なに…いまの…」立ち上がり
冷蔵庫のミネラルウォーターを飲み
新聞を取りに玄関へ
目の前に黒く平べったい財布が落ちていた…
拾い上げ中をみた。学生証と千円が
入っていて…エバンの女の子が、キャィキャィしていた…


「どぉ~くさっ…捕獲しっぱあぁぁい」


学生証を見下ろし
ダイニングの机に投げた。


ベランダ越しからカーテンを開け
下を見下ろしたら
彼が、下を向いてポケットをあさり
キョドっている…


「あー。もう めんどくさいっ」

サンダルを履き
急いで、下に降りていった。


「ちょっと あのさ。これ忘れてる」


「あ…あの…重ね重ね助かります
ありがとうございます。うわぁ。良かったぁ…エバンが戻ってきた」


「ぢゃぁ。X'masだからってのみすぎないよーにね」


彼は、やっぱり低姿勢であたしを見つめにこにこしながら見送ってくれた。

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