テキストサイズ

同じ場所~君と僕の見ている風景~

第13章 その日

「……じゃあ…行くな。」


「…うん。」


ドアのノブに手を掛けるけど、なかなか、回せない。

「……………」


「………」

そう…二年前から、一歩も動けないでいた二人は……


今、歩き出すんだ…


ドアノブが回る。


「ありがとな…」


「…うん。ありがとう。」

ガチャ

パタン

ドアが閉まると同じに

「やだ…えっ?やだ…翔ちゃ…ヒック…やだよぉ~!!好きだよ……ヒック…翔ちゃん…帰って…ううっ…帰って来て……や、誰か……怖い…わぁーん!!ああああ!!何で!!何でぇぇ!!ヒック…」

突然襲った孤独感と、現実を受け入れる事の拒絶反応で


狂った様に泣き叫んだ。


ドアが閉まるまであたしは、ちゃんと、笑顔でいれた?


キミが最後に見たあたしの顔は笑えてた?


もう、わからないや…

自分がどんな顔をしてたのか…


あたしの最後の恋が終わった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ