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同じ場所~君と僕の見ている風景~

第7章 麻痺する違和感

翔side

この日家に着いたのは午前1時を回ってた。

さすがに疲れた。


シャワーから出て携帯を取る。

美保に電話をする。

何から喋れば良いかな。

初めて電話した日もそう、思ったな。

状況が違い過ぎるけど…

コール中緊張で顔が強張る。

「はいはい。」


いつもと変わらない感じで電話に出る。

無理させてんだろーな。


「お疲れ…おれ…」

俺もなるべくいつも通りを装おう。

「お疲れ~今までだったんだ?」

「そー。週刊誌明日出るって。なんか、ごめんな…」

「アハハ、何で翔ちゃんが謝んの?」

優しく諭す様に言う。

「美保大丈夫だった?って大丈夫なわけないと思うけど…」

「まぁね。、なんか色んな人に生かされてんだなって痛感したよね。
1人じゃなんにも決められないんだねー!大人なのにw」

わざと自虐的に言って笑う。

でも、言ってる事はその通りで過ぎそれが俺には重くのし掛かる。

「スポンサー回るんだろ?」

「うん。来週から映画入るからその前にねーつか、ニノにも悪いよね。製作発表とかの時何かしら言われちゃうよなぁ。」

「俺から電話しとくよ。」

「うん。お願いします。」

ここまで自分たちの話しは一切でない。当たり前みたく話してるけど、ホントは二人とも違和感だらけなんだ。

この仕事を始めて二人とも十年を優に越えてる。


だから…

事がスムーズに行く方法も散々見てきたんだ。

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