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空と太陽

第3章 夏、放課後の教室




 「はい、はよ帰れよ〜」

 『さよーならー♪』


 皆が帰って静かな教室
 大空先生と2人きりに
 なってしまった空。


 「んじゃ、方程式からな」
 「うへー…はーい」
 「…」

 大空先生がじっと
 空を見つめる

 (なにっ!?)

 空は目を離そうにも
 あまりにもまっすぐ
 見てくるので
 はなせなかった


 「なぁ、中村」
 「えっあ、はい」
 「6時間目なんやったん?」
 「水泳です」
 「そっか。
 やけん髪ぬれとんか」
 「乾かなくて、アハハ…」
 「中村、髪ぬれとるん
  可愛いな」
 「え」


 時が止まった気がする

 顔が熱すぎて
 湯気をだしそうだ

 空は固まってしまった


 (可愛い…?)


 先生の優しい笑みが
 真ん前にあった

 先生、
 先生の頬が少しだけ
 赤く見えるのは…

 夕日のせいですか?





――――ガラッ

 「▽&:$%♭|〜!?」

 いきなり教室の
 扉があいた

 「先生〜なにしてるの〜?」

 B組の桜井さんだ。

 「ん〜?補習中」
 「マジで〜?
  ウチもやってよ〜♪」
 「今度な」
 「けち〜まぁいいや
  じゃあねっバイバイッ」
 「おうっじゃあな」


 そしてまた静まりかえる教室


 「中村」
 「はい」
 「宿題だ」

 方程式のプリント
 全50問


 「アンタは鬼かぁぁぁぁ!!」
 空は半泣きになりながら
 叫んだ。



 大空先生は
 微笑をうかべて
 優しく空を
 見つめた


 「ちゃんと
  やってきたら
  ご褒美やるよ」


 空はそんな先生の微笑に
 ドキドキしたのだった




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