
秘書のお仕事
第5章 鬱憤の種
『しゃ、社長…』
ちょうどいいところに!!
早くこの暴走女をなんとかしてください!!
社長はこっちへ足を進め、女性をじっと見た
女性は半ば涙目で社長の顔を見据える
「この女は…誰?」
女性はあたしを指差し、社長の答えを待った
あたしはあんたの秘書でっせ、そう言ってやんなせぇ旦那
すると社長はあたしを一瞥し、クスリと笑いながら女性を見た
「さぁ、俺はこんな馬鹿そうな人間、見たことも聞いたこともありませんよ」
はい?
社長は女性の肩に手を回すと、二人並んで社長室の奥の部屋へと歩いていった
「もう、びっくりするじゃないの」
「すいません…けれど、あなた以上に魅力的な女性など
どこを探してもいませんよ」
「まあ、嘘が上手なのね」
「何を思って嘘だと言うのですか?」
などど、聞いていて不愉快極まりない会話をしながら去って行く二人を
あたしは黙って見送った
