秘書のお仕事
第6章 仕返し
あたしと涼は、小さな座敷の個室に入った
これもおそらく、泣き止まないあたしを気遣ってのことだろう
四角いテーブルに向かい合って腰を下ろす
『…っ、ひっく…ぅっく…』
だいぶ嗚咽もおさまってきたところを見て
涼は口を開いた
「何食べる?」
『…』
あたしは真っ赤になった目でメニューに目を通した
どれもこれも美味しそうで仕方ないのだが
"たこキムチ"
と言葉にしようとするとまた泣き出しそうになり
どうしても黙り込んでしまった
「じゃあ、指差して」
そんなあたしのことまで汲み取って
涼はそう言ってくれた
あたしは口を閉ざしたまま、たこキムチを指差した