
秘書のお仕事
第6章 仕返し
『…』
「否定しないの?」
『…だって…わかんないんだもん…』
涼は食べ終えた皿を重ねながら、「ヤキモチか」と言った
が、あたしは何度も首を横に振った
『ありえないありえない!!ヤキモチとかありえない!!』
「じゃあ何?」
『…』
涼の勝ちだ
ヤキモチではないが、それ以外にヤキモチを回避出来るような言葉が思いつかない
『社長は…思わせぶりな態度取る…』
「愛でも囁いてくれんの?」
『ううん…』
そんなことは、一切ない
ただ、時折…
優しいキスをしてくれることに、一瞬とはいえ自分を疑う
『ほんとに…ほんとに一瞬だけ…あたしだけを見てるのかもって、思っちゃう…』
「へー、でもすぐに他の女とイチャこらするから…」
『からかってるだけかよって思う…』
「それで益々イライラするってか?」
あたしはコクッと頷いた
