
秘書のお仕事
第6章 仕返し
「それってつまり…嫌いじゃないんじゃないの?」
どこか投げやりな涼の態度に、少し疑問を感じたが
『大嫌い』
と断言した
「でも結局、遊ばれることが嫌だから泣いてたんだろ?」
『…一応』
「つまり、遊びじゃなかったら別に大丈夫ってわけだ」
『違うってば!!』
つい
怒鳴ってしまった
『…ごめん』
あたしは身を縮め、座布団の上で小さくなる
涼は一息ついたあと、
そんなあたしの隣に、コップを持って座った
「ごめんな?」
きっと優しい顔して言ってくれているんだろう
でもあたしは顔を上げることが出来なくて
その表情を確かめられない
『ううん…ごめん』
「…」
涼は、膝に置かれたあたしの手に、その大きな手を重ねた
多分
あたしの手が震えていたから
そうしてくれたんだと思う
