
秘書のお仕事
第8章 失態
「さて」
エレベーターで二人きりになると、壁際で背を向けるあたしを挟むように、社長が寄ってきた
社長が、壁に手をつく
その手が視界に入ると、あたしは思わず身構えた
「まだ新人のくせに…もう男つくったのか?」
『れ…恋愛に新人も何もありませんから』
負かしてやる…
今のあたしの頭の中は、こればかりだ
「生意気…」
髪を上げられ、首筋に息が吹き掛かる
気づかれないくらいの身震いをして
あたしは首を両手で押さえた
「これ、邪魔」
『ひゃっ…///』
指の間に舌が入り込み、思わず膝が崩れそうになる
『ぁ…ボタン、押してないじゃないですか…!!』
あたしは社長から逃れつつ、エレベーターのボタンに手を伸ばした
