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BL~中編・長編集~

第5章 ~愛してなんて言わない~

君の笑顔を見れるだけで、僕は幸せだったんだ。

・・・卒業式の日・・・・君は、満面の笑みで僕に声をかけてくれたね。

『大学生になっても、時々会ったりしような。』

って。

すごく嬉しかったよ。

たとえそれが、本心から思ってくれてなかったとしても。

君に告白しなかったことを、後悔はしてない。

だって、もし告白してたら、僕に声をかけることもしてくれなかったと思うから。

『・・・そうだね。』

僕は君の言葉にそう返したけど、もう会うことはないだろうと思ってた。

僕が進学する大学は、東京の大学だったから。

誰にも告げずに上京するつもりだったんだ。

別に、君に会うのが怖かったんじゃない。

ただ、いつか溢れてしまうこの想いを、胸に秘めておくのがつらかった。

だから僕は、想いが溢れる前に、君の前から姿を消そうと思ったんだ。

僕に笑顔を向けた後、彼女と僕に背を向けた君に向かって、僕は静かに別れを告げた。

『さようなら━━━・・・・・』

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