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BL~中編・長編集~

第7章 ~むかしむかしの恋物語~

伊代は心の中で何度も百の名前を呼びました。

もう二度と、一緒に時間を過ごせないと思うと、伊代の胸は握りつぶされたようにつらくなりました。

「・・・・・・」

何かを察したのか、友達もそれ以上何も聞いてきませんでした。

「はぁ・・・」

こんな時に相談できる人が誰もいないことに、伊代は不安を覚えました。

誰でもいいから、悩みを聞いて欲しかったのです。

「・・・・・・・・・」

あと一時間で習い事も終わるというとき、教室の扉が乱暴に開かれました。

「「・・・・・・」」

教室が一気に静まり返ります。

百とその友人が今になってやってきたのです。

「じろじろ見んじゃねえよ。」

百の言葉で、空気が一瞬にして凍りつきます。

周りの人たちは慌てて目をそらし、また話し始めました。
しかし、それはどこかぎこちない会話でした。

百たちはずかずかと教室に入って来ると、どかりと席に腰を降ろしました。

それと同時に先生が教室に入ってきました。

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