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BL~中編・長編集~

第7章 ~むかしむかしの恋物語~

「あら、目を覚ましたのね。」

お父さんにもう一度聞こうとした時、お母さんが部屋に入ってきました。

「体の具合はどう?」

「お母さん・・・百は?」

百の名前を聞いた途端、お母さんの顔から笑みが消えました。

「・・・昨日、僕をここに運んだのは百でしょ?」

「「・・・・・・」」

お父さんとお母さんは何も答えてくれません。

「ねぇ、答えてよっ・・・」

「・・・そんなことはどうでもいいから、今は体を休めなさい。」

お母さんはそう言って、伊代を再び寝かせようとします。

「いやっ・・・・百はどうしたの・・ッ・・?」

「・・・・追い出したわよ。」

「っ!!」

言うことを聞かない伊代に、お母さんはそう告げました。

「当たり前でしょ? あいつはオオカミなのよ!? 食べられたら大変じゃない。」

「百に会わせてっ・・・!!」

伊代はお母さんにすがって、そう懇願しました。

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