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BL~中編・長編集~

第7章 ~むかしむかしの恋物語~

「・・・・・」

お母さんは、お父さんの言葉に、先ほどの伊代の顔を思い出します。

「百君に抱きついた時、伊代は本当に嬉しそうな顔をしていたよ。」

「・・・・」

「私は、あんなに嬉しそうな顔をした伊代を、見たことがない。」

「・・・・・・」

お母さんは何も言いません。

「あの子にあんな顔をさせられる百君にだったら、安心して渡せるんじゃないか?」

「でもっ・・・・」

「母さん。」

反論しようとお母さんが口を開くと、再び、お父さんが遮ってきました。

「あの子にとって一番幸せなのは、彼と一緒にいることなんだよ。」

「・・っ・・・」

お母さんは、諦めたのか、うつむいてしまいました。

「我が子の幸せを願うのが、親というものじゃないのかい?」

「・・・・・そうですね。」

お父さんの言葉に、お母さんは微笑みました。

「私は、あの子を苦しめていただけなのかもしれません。」

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