テキストサイズ

BL~中編・長編集~

第8章 ~幸せはすぐそこに~

人を━━・・・

「ころし・・・・」

「まだ死んでません!! 救急車を・・・」

絨史の声が遠い。

「早くっ!!」

みんながせわしく動く中、俺は一人何もできずに、倉庫の隅で自分の手を呆然と眺めていた。

「俺は━・・・・・」

━━━━━━━━━━━━━━


この出来事は、すぐに学校中、世間に広まっていった。

もちろん、警察も動いた。

本来ならば少年院送りになるはずだが、雨宮や絨史が証言してくれたおかげで正当防衛として認められ、無罪になった。

後で聞いた話だが、あの男は一命を取り留めたそうだ。
まだ、意識は戻ってないらしい。

だが、無罪とはいえ人を刺した人間。

周りの人は、俺を避けるようになった。

当然だ。

俺は、人を殺しかけたんだから。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ