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BL~中編・長編集~

第9章 ~大切なもの~

一馬の家は結構裕福な家庭で、大学一年生のくせに、一馬はマンションで一人暮らしをしていた。

転がりこませてもらうので、家事全般は俺が請け負った。

元々、家事をするのは好きだったし。

同居し始めて二か月くらい経った時だったかな?

一馬が、家に帰ってこなくなった。

当初、俺は心配で心配で・・・一馬に何かあったんじゃないかと、気が気じゃなかった。

『ただいま~。』

やっと帰ってきたのは、三日後。

慌てて玄関に出て、一馬の姿を見て言葉が出なかった。

『・・・・』

それは、嬉しかったからとかじゃなくて・・・

『ん? どうした奏多。』

一馬の首には、キスマークがついてたから。

それに、香水の匂いを漂わせていた。

『一馬・・・それ・・・・』

『それ?』

俺が首を指さすと、一馬は玄関の鏡を覗き込んで困ったような顔をした。

『あぁ・・・あの女がつけたんだな。』

女?

それって・・・・

『奏多?』

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