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BL~中編・長編集~

第9章 ~大切なもの~

「悪いな。 休みの日に呼び出したりして。」

「気にすんな。 で、どうしたんだ? 杉野から呼び出しなんて、珍しいな。」

あぁ・・・そういえば、まだ自己紹介してなかったな。

俺の名前は杉野 奏多(すぎの かなた)。 21歳。

ごくごく平凡な大学三年生。

「あぁ。 頼みがあるんだ。」

「へぇ・・・どんな?」

ウエイターにコーヒーを注文してから、俺は話を切り出した。

「一人暮らしをしようと思ってる。」

「は? だってお前、立花と・・・」

あ、そうそう。

吉村は俺と一馬が付き合ってることも、同居してることも知っている。

「そろそろ限界かなって思ってさ。」

「・・・で、俺に頼みって?」

コーヒーが運ばれてきたので、一口飲んだ。

「お前なら顔が広いし、どっか安い物件知らないかなって。」

吉村は、俺の言葉に納得したように頷いた。

「なるほどね。 いつまでに?」

「できるだけ早く。」

一日でも早く、一馬の所から離れたい。

「わかった。 見つけたら連絡するよ。」

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