
BL~中編・長編集~
第10章 ~番外編①~
「はぁ…っ…はぁっ…」
視聴覚室を飛び出した僕は、一番近い男子トイレに飛び込んだ。
「っ…」
どうしよう…授業サボってこんなところ来て…
後で先生になんて言い訳すればいいんだろう。
「おい、近藤いるのか?」
「…っ…先生…」
教室を飛び出した僕を、先生が追いかけてきたみたいだ。
「いないのか?」
僕は個室の扉を開け、先生の前に姿を現した。
「ここにいたのか。 どうしたんだ、急に飛び出して行くなんて。 具合でも悪いのか?」
「いえ…そういうわけではないんですけど…」
本当のことなんて絶対に言えない。
「……とりあえず、こんなところもなんだし、移動するか?」
「…はい…」
気を利かせた先生が、そう言ってくれた。
「近藤、コーヒー飲めるか?」
「あ、苦いのは苦手で…」
正直にそう言うと、先生は僕のためにココアを淹れてくれた。
「すいません、ありがとうございます。」
「気にするな。 それより、大丈夫か?」
先生に顔を覗き込まれ、顔が赤くなった。
「あ、だ、大丈夫ですっ!!」
実はこの先生、一部の生徒からの人気は絶大で、学校で一番のイケメン先生として有名な先生なんだ。
ま、うちは男子校だけど…ね。
「顔、赤いぞ?」
「先生が顔覗き込んでくるからですよ!!」
個人的には、この先生は好きだ。
生徒のことを、親身になって心配してくれる。
