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BL~中編・長編集~

第12章 ~こんどこそ一緒に~

だんだん、シロの声が震えてきた。

そう感じたのは、気のせいだろうか。

「俺が完全にハルのことを思い出したのは、シバにハルがアメリカに行くって聞いた時だった。
聞いた瞬間は、目の前が真っ暗になったよ。

また、俺は大切な人を失うのかって・・・」

声だけじゃなくて、手まで震えてきた。

俺を抱きしめるシロの手が、かすかに震えている。

「またって感覚に、疑問を覚えた。

俺は昔にも、何か失ってるのかってね。

戸惑いを隠せない俺を見て、シバは怒鳴ってきたよ。

『お前はまた、何もしないのか!?』って。」

シバ・・・どうしてシロに話したんだよ?
何を思って・・・・

「俺には、なんのことかわからなかった。

でも・・・シバが呼んだ名前に、俺は全部思い出したんだ。」

まさか・・・シバは・・・・シロのことを・・・

「『いい加減にしろよクロ!!!』ってね。」

クロの名前で・・・シロを怒鳴ったのか。

「クロ・・・その名前で呼ばれた瞬間、頭の中に昔のことが一気に流れ込んできた。

ミケのことも、ミケが俺のせいで死んだことも・・・・全部・・・」

「シロ・・・・」

俺は、震えているシロの体を抱きしめるようにシロの背中に腕を回した。

「・・・もう一度・・・・もう一度、ミケを・・・ハルを、この腕に抱きしめることがあったら、伝えようって決めてたことがあるんだ。」

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