テキストサイズ

BL~中編・長編集~

第16章 ~Riproduzione~

豊・・・お前はどうして耐えられたんだ? あんなに長い間・・・

彼の気持ちが少しはわかりましたか?

一体、彼がどれだけ苦しんだか。

「あぁ・・・こんなにつらいとは思わなかった。」

まだまだですよ。 彼はもっと苦しんだんですから。

「・・・・どうして豊は・・・こんな生活に耐えられたんだ?」

・・・・・・

不思議な声からの返答はない。
彼にもわからないことがあるのだろうか。

「よぉ。」

「!!」

一体何日ぶりに人に話しかけられただろうか。

顔を上げると、松下が俺を見下ろしていた。

「松下・・・」

「随分参ってるな。」

松下はそう言って、俺の隣に腰かけた。

「いいのか? 俺なんかと一緒にいるところを見られたら、周りになんて言われるかわからないぞ?」

「そんなの、勝手に言わせとけ。 誰と一緒にいるかは、俺が決める。」

松下は強いな。 うらやましい。

「・・・近藤は・・・・大丈夫か?」

「相当落ち込んでるけどな。 一番の友達を失ったんだから。」

そうか。 近藤は、本当の豊を見抜いていたのか。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ