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BL~中編・長編集~

第19章 ~もう一つの恋~

安藤が驚いて声を上げた。
それで、ようやく自分が泣いている事に気がついた。

「…ごめん…なんでも…な…っ…」

だめだ…結構ダメージでかかったんだな…

「っ…ぅ…」

「先輩…」

安藤は、俺を呼んだかと思うと、優しく頭を撫でてきた。

「もしよかったら、先輩がここに一人でいる理由教えてくれませんか?
誰かに話した方が楽になれると思いますよ。」

俺はその言葉に釣られるように安藤に全部話した。

さすがに、祐の名前は出せなかったけど…

「…そんな事があったんですね…」

「ははっ…馬鹿だろ? 自分の家に呼んで…キスして嫌われて… ほんと…馬鹿だよな…」


嫌われただろうな…


そう考えると、また涙がこみ上げてくる。

手で顔を隠すと、安藤がその手を掴んできた。
手を顔から離されると、安藤の顔が徐々に近づいてきて…

「ちょっ、待っ…」

気づいた時には、安藤とキスをしていた。

「んんっ!? 安…藤…!!」

胸を強く叩くと、安藤はあっさりと離れ、俺を抱きしめてきた。

「安…藤…?」

「…泣かないで下さい。」

(なんだ…? この状況…)

訳がわからず固まっていると、安藤が俺から離れた。

「すみません。 こんな事して… でも、僕…」

そう謝る顔は本当に申し訳なさそうで…

怒る事も出来なかった。

黙って安藤が続きを話すのを待った。

「僕…先輩が好きなんです。 だから、泣いてほしくないんです。」

「…は?」

突然の告白に頭が真っ白になる。

(今…なんて…)

「だから、僕と付き合って下さい。 先輩がまだあの人を見ているのはわかってます。 代わりでいいんです。 先輩のそばに居させて下さい。」

「そんな事して傷つくのは…お前だぞ?」

俺の言葉に安藤は悲しそうに微笑みながら頷いた。

「わかってます。 それでもいいんです。 先輩のそばに居させて下さい。 先輩を一人にはしませんから…」

真っ直ぐ…
綺麗で純粋な目が俺を真っ直ぐ見ていて…
気がついたら、安藤の言葉に頷いていたんだ━━

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