テキストサイズ

BL~中編・長編集~

第19章 ~もう一つの恋~

そんな事になってはいけない…

俺がこいつを傷つける前にこいつを遠ざけておかないと…安藤はきっと後悔する。
俺なんかに近づくんじゃなかった。と…

「だから…もう、俺に近づくんじゃな…」

「それって命令ですか?」

俺の言葉を遮って安藤が口を挟んできた。

急な質問に多少驚くも、逆に質問で返してみる。

「俺が命令だと言ったら、お前は俺の前から居なくなるのか?」

自分は質問に質問で返すくせに、俺に質問で返されて驚いたのか、安藤はしばらく黙っていたが、満面の笑みで質問に答えてきた。

「いなくなりませんね。 もし居なくなったら、先輩はきっと寂しくて壊れると思いますから。」

「……じゃあ、なんて言ったら俺の前から居なくなるんだよ?」

そんな事教えてくれる訳ないとわかっているが、聞いてみる。

「なんて言われても、居なくなりません。」

やっぱり、教えてくれないか…

「…なんで、そんなに俺に構うんだよ?」

答えは…聞かなくてもわかる気がする…

「そんなの簡単です。 先輩が好きだからですよ。」

こいつ…本当にヘタレか?
十分立派な男な気がする…

「…もういい…好きにしろよ…後悔しても知らねーからな…?」

安藤は俺の言葉に満足したように、優しく微笑んだまま頷いた。


(好きだから…か…)


好きだからそばに居たくて…好きだからその人の力になりたい…

結局、それだけなんだよな…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ