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BL~中編・長編集~

第20章 ~君は親友~

「もうこんな時間か…そろそろ帰らないと遅くなるな…」

「そうですね。 帰りましょう。」

安藤も俺の言葉に頷いて、二人で出口に向かう。

―と、途中ですれ違った男性にぶつかってしまった。

「あっ、すみません。」

先に謝られ、慌ててこちらも謝る。

「いや、こちらこそすみませ…」

しかし、謝罪の言葉は途中で切れた。

「智…?」

「ひ…ろ…」

その男性の隣に祐がいたから…

「な…んで…」

驚いて言葉が出てこない…

祐も驚いているようだったが、遠慮がちに話し掛けてきた。

「久しぶり…だね…」

「…あぁ…うん…」

何を話していいのかわからず、会話が全然続かない…

しかも、安藤の前だ。
名前は出していないが、俺の態度からして、俺が祐を好きだった事くらい気がつくだろう…

なにも言えず固まっていると、再び祐が口を開いた。

「話したい事があるんだけど…ちょっといい?」

「あっ、うん…」

突然の質問に思わず頷いてしまい、後悔した。

(やば…こんな状況で祐と二人きりになったら…)

俺達の会話を聞いて、安藤と、祐と一緒にいた男性は席を外した。

「「………」」

しばらく沈黙が流れる…

と、口を開いたのはまたしても祐だった。

「あのさ、智…」

「……な、なに?」

いつか祐と話さないといけないとは思っていたが、まさかこんなタイミングになるとは予想していなかったので、ギクシャクしてしまう。

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