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BL~中編・長編集~

第20章 ~君は親友~

「ま、それもいい奴見つけるためだったんだけど。」

「結局、誰も作らなかったのか?」

俺の質問に、悠は渇いた声で笑うと、頷いた。

「うん。 本当に好きな人が出来たからね。」

「へぇ~… それって誰だよ?」

冗談混じりに笑いながら問うと、悠は急に真剣な顔になった。

「悠…?」

急に真剣な顔になったのを不思議に思い、名前を呼ぶと、悠はゆっくりと口を開いた。

「俺が好きなのは…」

黙って言葉の続きを待っていると、悠はにんまりと笑った。

「内緒。」

「……」

期待を裏切られ、がっかりしたのと同時に、怒りがこみ上げてきて、そっぽを向いた。

「気が向いたら教えてやるからさ。」

「いい。」

悠の言葉に即答すると、麦茶を口に含んだ。

「怒るなよ。 またちゃんと言うからさ。」

「……」

悠の言葉を無視して何気なく携帯を開いた。

「…ぁ…」

「どうしたんですか、先輩?」

小さく声を上げた俺を不思議に思ったのか、安藤が問いかけてくる。

「いや、ただのメール。」

そう答えてメールを開くとそこには…

『俺が好きなのは、お前だよ。』

「………」

驚いて悠を見ると、俺の顔を見て面白そうに笑っていて…

「………悠………」

怒りをさとられないように名前を呼ぶと、悠に気づかれないように近くにあった雑誌を手に取る。

「ん? なに、智?」

俺はにっこり笑うと、雑誌を丸めて思いっ切り悠の頭を殴った。

「いっ!?」

「………いっぺん死ね………」

「……悠……」

俺の行動に安藤と葛城さんは驚いていたが、祐は呆れたようにため息をついた。

「せ、先輩?」

「……何でもない。」

「…智…さすが…」

「犬井君って、案外怖いんだね。」

それぞれが今の行動に感想を述べる。

しばらくすると、ようやく痛みから解放されたのか、悠が頭を押さえながら涙目で訴えてきた。

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