BL~中編・長編集~
第20章 ~君は親友~
「…疲れた…」
風呂でも入るか…
そう思い、ベッドから立ち上がる。
「え…っ!?」
が、急に強い力で腕を掴まれ、後ろに引っ張られた。
「ぅ、わっ!!?」
気が付いた時には、悠に押し倒されていて…
「悠!?」
慌てて体を起こそうとしたが、両腕を押さえ込まれてしまっていて、身動きが取れない。
「ちょ、お前っ…ふざけるのもいい加減に…」
「ふざけてるわけないだろ。」
悠は俺の言葉を遮り、自分の言葉を続けた。
「俺、言ったよな? 智のことが好きだって。」
「はぁ!? ちょ、待っ…じ、冗談だろ!?」
悠の腕から逃れようと必死にもがくが、拘束されている力が強く、びくともしない。
「智…俺がなんで留学したかわかるか?」
「っ…は?」
こんな状況での急な質問に、訳が分からず固まってしまった。
「なぁ…わかるか?」
「わ、わかんねぇよ!! ってか、いい加減放せ!!」
恐怖と怒りが混ざり、今まで感じたことのない感情が体の奥から湧き上がってくる。
「智…可愛いな。 口ではそんなに強がってるのに、手は震えてる。」
「…っ……」
そんな俺を見て、悠はにっこり笑うだけで…
恐怖心が大きくなっていくのが、自分でもわかる。
「俺が留学した理由はな…智が好き過ぎて怖かったからだ。」
「………は?」
一瞬、恐怖心も怒りも忘れて固まってしまった。
「智のことが好き過ぎて…このままじゃ自分の感情を抑えられなくなると思ったから、お前から離れた。」
「……………」
そう言って、真っ直ぐ見つめてくる悠の目は真剣そのもので…
その偽りのない告白に、俺は黙り込んでしまった。
「こっちに戻って来て、お前に彼女ができてたら、そのまま諦めるつもりだった。
素直に、お前の幸せを願おうってな。
でも…」
「……ッ………」
悲しそうな表情を浮かべた悠の力が強まり、俺は痛みに顔をしかめた。
「お前はあの安藤を好きになってた。 正直、驚いたよ。
だけど、少し嬉しかった。 お前は男もいけるんだって、わかったからな。
でも…それと同時に後悔した。 男もいけるって知ってたら、留学なんかしないで、安藤に取られる前に俺のものにしておけばよかったって…」
「ゆ、う…」
こんなに想われてるなんて、知らなかった。