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BL~中編・長編集~

第20章 ~君は親友~


「嫉妬深いから…相手が他の人と話してるだけで嫉妬するから…俺の気持ちが重くて、みんな離れていった。」

その言葉通り、安藤は俺からゆっくりと離れた。

「俺…本当はヘタレじゃないんです。 先輩に近づきたくてヘタレなのを装ってましたけど…」

安藤は申し訳なさそうに顔を歪ませ、言葉を続けた。

「……怖い思いをさせてすみませんでした。 もう先輩には近づきませんから、安心して下さい。」

そう言って、安藤は部屋を出て行こうと扉に手をかけた。

「ぁっ…待っ!!」

俺は思わず、出て行こうとした安藤の腕を掴んで引き留めてしまった。

「先輩…?」

「いや…えーっと…その…」

俺は慌てて手を離すと、恥ずかしさから顔を伏せた。

「………」

今…今言わないと、本当に終わる気がする。

「…………っ…なよ…」

「え?」

そう思って、顔を伏せたまま小さい声で自分の気持ちを素直に口に出した。

「………勝手なことばっか言うなよ…お前がヘタレだろうがなんだろうが、俺は…その…お前の事……す………き…だし…」

今までずっと言いたかったことが…やっと言えた。

「っ…だから…その…」

「はぁ~…」

安藤がため息をついたのを聞いて驚いて顔を上げると、安藤は顔を真っ赤にして俺を見ていた。

「俺……今まで嘘ついてたんですよ? 本当はヘタレじゃないし……そんな俺でいいんですか?」

「…………当たり前だろ? 俺は…ヘタレとかヘタレじゃないとか、そんなのどうでもいいんだよ。

俺は…どんな安藤でも、お前が好き……なんだから…」

安藤は俺の言葉に満面の笑みを浮かべると、俺を優しく…でも、力強く抱きしめてきた。

「先輩…俺、嬉しいです。」

「安ど……苦し…っ…」

軽く背中を叩くと、安藤は慌てて俺を抱きしめる力を緩めてくれた。

「あっ、すみません。」

「…大丈夫。」

小さく微笑むと、安心したようにほっと息をつく安藤。

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