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BL~中編・長編集~

第20章 ~君は親友~

「違うよ。 それだけじゃないでしょ?」

「…………」

なにも言い返さない俺を見て、祐は「やっぱりね。」と言って頷いた。

「…悠の事でしょ?」

「………………うん。」

おとなしく認めると、祐は少し笑って口を開いた。

「喧嘩でもしたの?」

「…………告白された。」

まさかそんな言葉が出てくるとは思っていなかったのだろう。

祐は目を丸くした。

「じゃあ、昨日悠が言ってた好きな人って…」

「…俺。」

小さな声で呟くと、祐は少し黙り込んだ。

「告白されて…どうしたの?」

「…断ったら、襲われそうになった。」

祐は何も言わず、再び黙り込んだ。

しばらく沈黙が続く。

「…智はさ、悠の事嫌いになった?」

「は?」

急な質問に頭がついて行かず、少しの間考える。

「……別に…嫌いにはなってない……と思う。」

「じゃあさ、もう一緒にいたくないって思う?」

祐がこんな事を聞いてくる意図が読めないが、正直に答える。

「…思わない。」

「なんで?」

こいつは何を聞きたいんだ?

そんな事を思いながらも質問に答えた。

「大切な幼なじみだから。 …小さい時からずっと一緒にいた大事な親友だからだよ。」

俺の答えに、祐は満足そうに頷いた。

「うん、そっか… 俺も同じだったよ?」

「…は?」

祐はにっこり笑ったまま、俺を指差した。

「…智に襲われそうになった時。 智と同じように悩んだよ。 どうすればいいのか。って…」

「ぁ…」

そうだ…
自分も悠と全く同じ事をした。

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