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BL~中編・長編集~

第20章 ~君は親友~

半ば叫ぶように名を呼ぶと、悠は驚いたように顔をこちらに向けた。

「…智…なんで…ここに…?」

「なんでって…お前が呼んだんだろ?」

悠の質問が理解出来ず、当たり前の事を答えると悠は少し俯いた。

「そうだけど… まさか本当に来てくれるなんて…」

そう弱々しく呟く姿は、いつもの悠からは想像出来なくて…

「なあ智… 来てくれたって事は…俺の事…許してくれるの…?」

そう言って少し微笑んだ悠は、今にも泣き出しそうだった。

「…………うん。 でも…」

「でも…?」

少し悠を睨みつける。

「完全に許した訳じゃ…ないからな。」

「……うん。 わかってるよ。 ありがと、智。」

悠は嬉しそうに笑うと、再び空を見上げた。

「…悠、行こ!!」

「は?」

不思議そうな顔をしている悠の腕を掴み、走り出した。

「うわ!! ちょっ…」

混乱している悠を無視して走り続ける。

悠は最初こそ抵抗していたものの、黙って俺について来た。

着いた場所は…

「悠っ!!」

祐達の所だった。

悠の姿を見た安藤と葛城さんは、驚きに目を見張る。

「智…なんでここに俺を…?」

悠の問いに答えず、祐に向かって満面の笑みを向ける。

「…よかった!!」

「「うわっ!?」」

祐は涙目になりながら勢いよく俺達に抱きついてきた。

いきなりの事に驚いて祐を受け止めきれず、3人一緒に倒れ込む。

「いった…」

「いつつ…」

起き上がり、上に乗っている祐を睨みつける。

「祐~…」

「ご、ごめん!! あまりにも嬉しくて、つい…」

祐の言葉に、悠は急に吹き出した。

「ははっ!!」

それにつられ、俺達も吹き出した。

「「はははっ!!」」

3人一緒に笑ったのなんて、いつぶりだろう…

しばらく3人で笑うと、ゆっくりと立ち上がり、安藤と向き合う。

「そういう事なんだけど… いい?」

それまで複雑な表情をしていた安藤は、俺の問いに笑って答えた。

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