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BL~中編・長編集~

第24章 ~番外編③~

「嫌いっ…きら…」

「……優太。」

海斗から離れようともがく僕を、海斗は優しく抱き締めてきた。

「ごめん。」

それでももがき続ける僕の耳元で海斗が囁いたのは、謝罪の言葉。

「ごめんな。」

「海…」

海斗の匂いに包まれると、一瞬にして僕は落ち着きを取り戻した。

「俺、みっともないよな。 他の男が優太に触っただけで、こんなに取り乱して。」

「え?」

もしかして…海斗は…

「やきもち…妬いてたの…?」

「……っ…そうだよ。」

耳まで真っ赤にして、そっぽを向いてしまった海斗。

「なんで? 僕が海斗以外の人に興味ないってわかってるでしょ?」

しかも、声をかけてきた不良(?)は、特別カッコいいというわけではなかったし。

「………それはわかってるんだよ。 ただ…」

「?」

海斗がこんなに歯切れが悪いのは、珍しい。

「優太は可愛いから…今日声をかけてきたあいつらだけじゃなくて、他の奴もお前のこと狙ってるんだよ。

いつか優太が誰かにさらわれるんじゃないかって、いつも考えてて…」

「海…斗……」

いつも…僕の心配をしてくれてた?

日頃の不安が、今日のことで爆発しただけ…?

「へへへ。」

「? 優太?」

つい先ほどまでは泣いていたのに、今度は笑い出した僕を見て、海斗は首を傾げた。

「海斗、可愛い!!」

「はっ?」

ギュッと海斗に抱きつくと、海斗は驚きの声を上げた。

「へへ。 なんか、前にもこんなことあったよね。」

「……あぁ。」

前は、海斗が先生に嫉妬した時だったな。

海斗は普段何も言わないから、嫉妬してくれてるってわかると、僕のことを好きって言ってくれてるみたいで、安心するんだ。

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