なんやかんやでモテる主人公
第3章 ありきたりな強がり
「何も変えなくていいじゃん。泣きたいときは泣けばいい。別に無理する必要なんて一つもないんだから」
ドッ……
私の中で何かがフワッと軽くなった。
「………んっ…ひっく……ふぅ……」
私今まで当たり前だった事が出来なくなってたのかな…
見失ってたのかな…
「私っ……ふっ………白川…く…んっ…っが……わ…分かんない…っ…」
かっこいいと思ったら最低な奴だし。
最低だと思ったら急に優しくするし。
私には彼が何を考えているのかも、今までどんな顔して私を見ていてくれたのかも全て…全て分からなかった。
「俺にも分かんない」
「……へんな人…っ…(笑)」
クスッと笑えば彼は赤い顔をするし。
私は出会う人…出会う人で心が揺らぎ過ぎだと思う…
でも今こうやって笑えている自分が本当の私だって少し分かろうとしている。
無理に強くならなくていいんだ…
そういえば…けい先輩。
あなたもそう言ってくれたよね。
あなたの瞳にはもう私はうつってないのかな?
夕暮れを見たら思い出す。
彼は最低な恋をくれたんじゃない。
彼は私に恋する幸せさをくれたんだ。
「家まで送るよ」
そう言って白川くんは私が泣き止むまでずっとずっと側にいてくれたのだった。