なんやかんやでモテる主人公
第7章 ありきたりな気持ち
……はぁっ……はぁ……はぁ……っ……
私はメロス並みに走った。
ただやみくもに…とまる事のない鼓動や…とまる事のないこの気持ち。
何のために走っているんだろう。
何度も転んで乱れる私は…この時、何のために自分が走っているのか…
何のために会いに行くのか……
何も分からなかった。
あぁ……私って分からない事だらけだなぁ……
そんな事を考えていると、もう私の前には、先生のいるビルの最上階の部屋のドアがあった。
コンコンッ……
………無反応。
妙に緊張しちゃうな…っ
あ。インターホン発見!!
自分のバカさに少し呆れながらも、私はインターホンを押した。
ピーンポーン………
少し待っていると
ガチャン……
ドアを開けたのは、いつもと違って眠そうな顔に部屋着を着た……先生だった。
「何か用?」
いきなり冷たい言葉を浴びせられるもんだから…私は下を向いて黙ってしまった。
「髪ボサボサ。用がないなら帰りなよ」
そう言われるのは分かっていた事なのかも知れない……
でも…私はなぜ先生に会いに来てしまったんだろう。
そのまま立ちつくしていると先生は、私の手を強く引っ張って部屋の中へと連れこんだ。
「……っ……えっと……先生」
「その辺に座ってて」
前にかけてくれた言葉と同じなのに…とても冷たく冷えきっているような感じが、私の胸をさらに痛くした。