なんやかんやでモテる主人公
第8章 ありきたりな距離
そして私は先生に全てを打ち明けた。
自分が今どんな状況か…
自分が今どんな気持ちか…
先生は何も言わず、ただただ
話を聞いているだけだった。
「そんなの決まりきってるじゃん?」
「………何をですか?」
「君はもう彼の事を何とも思ってないって事」
「やっぱり…そうですよね」
「後もう1つ。君は彼と別れられないって事」
「ど…どうしてっ?!」
先生は、また寂しそうな顔をして笑って
「君は彼を振る事が出来ないからね」
っと言って私の頬に触れた。
「君は振る事が……裏切る事が出来る?」
「……裏切るなんてっ……そんな言い方…っ…」
「違った?君は誰かに依存しないと生きていけないみたいだしね」
″僕の知っている人によく似ているよ″
そう言って先生は、私の頬に触れていた手を鎖骨に移動し
ギリッと爪を立てた。
痛くはなかった。
それよりも…先生が私よりも顔を歪めて痛そうな顔をするから…ついつい先生の手を握り力を入れた。
「私は…私です。先生の知っている人じゃありません」
そう言ってまた力を強くする私。
鎖骨がさらに赤くなっていくように感じた。