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↑逆転↓御斗戯世界

第9章 ボンジュール、灰かぶり

【Side: 璃斗】

「あれほど離れるなって言ったのにテメェは…」

ガミガミ………

「大体迷子になったらその場に留まるのか常識だろうが。」

ガミガミガミ………

「しかも知らない男と一緒にいるし…」

ガミガミガミガミ………プチッ

「もう!ごめんって言ってるじゃん!」

「本当に反省してんのかよ!?」

「してるわよ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」

ウィザードと会った途端にこれだ。まぁ、予想はできていたけどね。心配故のお叱りだと思っても、やっぱりムカつく。サンドリヨンが優しかったから余計にウィザードの罵倒にうんざりしちゃうわ。

その私の心情に気付いたのか、ウィザードは、ハァ…とため息を一つついて、私の頭をぽんぽん、と軽く触った。

「まぁ、無事で何より………。」

あ、デレた。


「そうだ、お礼しなきゃ。」

振り返って、後ろにいたサンドリヨンの正面に行くと、私は制服のポケットから、黄色のピンを2つ取りだし、

「サンドリヨン、ちょっとしゃがんで。」

頭を低くしたサンドリヨンの前髪を少し手に取り、上に上げてピンで止めてあげた。長くて少し痛んでいる髪が上げられて、オレンジの明るい目がよく見えるようになった。やっぱりこっちのほうがいい!


「これ…」

「あげる。今日のお礼として受け取って。こんなものしかもってないけど…まぁ、売ればそこそこお金になるかもね。」

驚いているサンドリヨンに、彼が私にしてくれたように抱きついた。その拍子にマントのフードがとれたけど、まぁいいや。

そして、これまた驚いているサンドリヨンに、彼が私にしてくれたように、満面の笑みでありがとう、と言っておいた。

「じゃあ!本当にありがとう!」

「あ、うん。じゃあ…」

そんなに嬉しかったのか、反応が薄いサンドリヨンにお別れを告げてウィザードの元にいく。

隣でウィザードが

「ったく…。天然タラシが…。」

とかなんとか言っていた。

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