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第9章 ボンジュール、灰かぶり

【Side: 璃斗】

続いてやって来たのは仕立て屋。てっきり武器屋の次は防具屋にいくのかと思いきや、

「鎧なんて着たら、お前動けなくなるぞ。」

とあっさり言われたから、鎧はつけない方針でいくらしい。やっぱりRPGは所詮RPGで、現実はそんなに甘くないようね。だってRPGで、”あなたのその弱っちい体では装備できません“なんて言われたら悲しすぎてゲームやりたくなくなるもんね。メモしておこう。

いや、ちょっと待てよ。これはつまるところ、RPGでいうレベルなんじゃないのか…?“あなたの現在のレベルでは装備できません”的な。きっとそうだ。

じゃあフィールドでモンスターと戦って早くレベル上げしなきゃ!!

と、まぁそんなことを思いながらも来たわけだけど、これがまた時間がかかるわかかる。武器を選んだ時よりも時間がかかる。

何故かって?それは………

「オイ、それはやめろ。」

「なんで?かっこいいじゃん。」

「肌が露出しすぎだ。」

「動きやすさ重視でしょ?鎧つけないんだし。」

「却下。こっちのブラウスにしとけ。」

「えー、それ地味じゃない。」

「地味でいいんだよ。」

「だって剣持って戦うんだよ?騎士っぽいのがいい!」

「駄目だ、許さん。」

「さっきから何よもう!過保護者!」

私とウィザードの意見が合わないからだ。動きやすくするために鎧をやめたのに、動きやすい服にしなくてどうするのよ!露出っていっても腕と素足を晒すくらいじゃない。あとお腹も。

店のおばさんも店員のお姉さんも困ってるじゃない。

「絶対これがいい。」

「駄目だ。」

私がこめかみに青筋をたてたのを見計らってか、店員のお姉さんが、おずおずと言った。

「あの、でしたらマントとアームカバーとロングブーツも一緒に試着してみます?」

「そう………だな……でも、」

ウィザードが小難しそうな顔をして考えているうちに、店員さんから受け取った服を持って試着室に入る。

「おい、何勝手に…!」

気付いたウィザードが怒って言うが、さすがに試着室には入ってこないでしょ。公衆の面前だしね。

「試着ぐらいいいじゃん。覗かないでよ。」

「だ、誰が好んでそんなヒンソーな体みるかよ!」


殴りたい衝動にかられたけど、まぁ我慢する。本当に殴りたくてしかたないけど、ここは我慢よ、翁路璃斗。

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