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第10章 束の間の休息

【Side: 璃斗】


「おーい、晩ごはんできたにょーん」


下の階からフェーレースさん、もといフェーレースの声が聞こえた。帰ってきてすぐ、彼女が、さん付けしないでいいにょんと言ったから、そうさせてもらうことにした。

すでに香ってくるいいにおいにお腹がぐぅ、となる。本当にフェーレースがいてよかった。じゃなかったら私はまともなご飯を食べれなかったに違いない。

下の階に降りて、エプロンを着けたフェーレースと、いつもの仏頂面を張り付けて新聞みたいな何かを読んでいるウィザードがいるリビングにくる。目の前の机には、これまた美味しそうな料理の数々。


「ん~!!すっごくおいしい!!」

「愛をこめて作ってるからにゃん」

店を出しても充分儲けれるほどの料理を食べながら、ふと隣を見る。行儀悪くご飯を食べながら新聞的なものを読んでいるウィザード。

「ちょっと。食事中はやめなさいよね。」

「うるせぇ。」

こいつはそればっかり…!!都合が悪いとすぐうるさいと言って言うこと聞かないんだから。

すると、前の席で食べていたフェーレースが、なんだかいたずらを思い付いた子供のように笑って、こちらに視線を向けてくる。

「これさっさと食べ終わって、二人でお話ししながら寝よっか!ウィザード抜きで。」

そう言われて、楽しそうだと思いながらうん、と返事をした。なんの話をしてくれるんだろう、魔法とか精霊とかそういうやつがいいなぁ!

ところがどっこい、それを遮ったのは、今まで黙々と新聞を見ていたウィザードだった。

「オイ、フェーレース。勝手に決めんな。」

「えー、だってウィザード食うの遅いしー。リトが暇しちゃうじゃん。ねぇ?」

「うん、暇しちゃう。」

面白そうだと、フェーレースに加担してみる。

そうすると、ウィザードは1つため息をついて、食えばいいんだろ、と新聞を閉じて食べ始めた。フェーレースは目線だけこっちに向けて、ニヤリとした。作戦成功、といった感じに。

でも、何でウィザードは、私とフェーレースが二人きりで話すのが嫌なんだろ。

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