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第10章 束の間の休息

【Side: 璃斗】

「それじゃあおやすみー。」

しまった、つい癖でおやすみー、なんて言ってしまった。ウィザードがちょっと驚いた顔をしておやすみ、と返してきたので、少しこちらも驚いた。




見た目とは裏腹に、ふかふかなベッドに入って思った。

これは夢なんじゃないか、と。

空を飛んだり、本が浮遊してたり、変な人たちと変な世界。壮大な夢のような気がしてきた。

でも、きっと明日目を覚ましても、世界は変わってはいないんだろうなぁ。だって、夢にしては余りにも鮮明すぎる。これは夢なんかじゃない。

ただ、現実逃避がしたいだけだ。早く帰らないと、私をおいて皆いなくなっちゃう。それじゃあ帰れても、すべて手遅れなんだ。

お父さんとお母さん、心配してるだろうな…というか、もう死んだことになってるから心配もなにもないか。ただ、病んでないといいけど…。

威王と花梨も元気にしてるかな?威王の方は、私の生存を確認してるから大丈夫だと思うけど、きっと威王が、私が生きている、と言っても誰も信じてくれないんじゃないかな。だってどんだけ探してもいないんだから。


「あー、もう!暗くなりすぎ!」

ほんと、一人になると悪い方向にばかり考えてしまう私の悪い癖だ。せっかくゆっくり休めるんだから、嫌なことばっかり考えてても仕方ない。もう寝よう!!

そう思っていたら、体は正直なようで、私はすぐに眠りに落ちた。

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