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↑逆転↓御斗戯世界

第10章 束の間の休息

【Side: 璃斗】

部屋のすみにあるクローゼットを開けると、昨日買った服が掛けてあった。ウィザードがやってくれたのであろうそれを手に取り、思わずにんまりしてしまった。

騎士を彷彿とさせるデザインのヘソだしタイプの服にマントとブーツ。それにシンプルだけどしっかりとしたロングソード。

まさしく剣士!うわぁ………ほんとたまらないっ…!!

早く着たい衝動を抑えて、とりあえず、寝癖はつかないがボサボサである髪を手ぐしでといて、枕横においておいた赤いリボンをいつものようにカチューシャのように結ぶ。これはお母さんが、誕生日のときにくれたリボンである。

でも少し恥ずかしかったから外そうとしたら、威王に止められた。それからというもの、ほぼ毎日つけている。もう習慣づいちゃったし、これがないと足りない、と花梨にも言われたから今更とろうとも思わないわけだけど。

そのリボンを今日も今日とて綺麗に結び、髪を整えた。腰まである茶髪が少しうっと惜しいけど、これまた切ろうとしたら威王が((ry


なんだか、私の身なりが威王にプロデュースされている気がするけれど、気のせいということにしておこう、うん。



そして、買った服に腕を通す。着心地のよくて軽い素材でできていて、ユニ●ロといい勝負ができるほどだ。下の少し短めのスカートをはき、腕のアームカバー的なものも装着する。すると、私の見た目はまるでRPGのパーティーの先頭にいる主人公剣士になった。

やばい、かなり楽しい…!この服着ているだけで楽しくなってくる。コスプレかと思うような服装が、ここの世界では当たり前だと思うと、これから鍵集めの旅に出るのが少しだけ楽しみに思えてきた。

ロングブーツを履き─外国のように家の中でも靴をはくらしい─、準備が整った。姿見に写る自分があまりにも二次元の世界の人のようで、数秒姿見を見たまま動きを止めた。

「……………」

何故か、姿見から目が離せない。自分の格好に酔いしれている訳ではなく、自分の目と髪に不思議と違和感を感じた。青がかった目と、明るいブラウンの髪。見慣れているはずなのに、どうしても気になってしまう。

(こんな格好してるから?)

どうしても拭いきれない違和感にモヤモヤさていると、扉からウィザードの声がした。

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