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第11章 再び参上!第六王国

【Side: 璃斗】

狭い路地から出て、辺りを見回すと、今度は痛い視線の数々を感じなかった。うまく溶け込めたらしい。それがなくなると、心に余裕ができて色んなものが気になり始めた。

本当に日本史の教科書に載っているような町並みで、装備一式を買った第七王国の市場には劣るけれど、ここもなかなかの賑わいを見せていた。きっとあのマルコ=ポーロも絶賛するに違いない。現実世界では見たことがないような飲み物や食べ物があって、どうしても美味しそうに見えてくる。

「ねぇ………何か、」

「奢らねぇぞ。」

ちくしょう、ケチ魔法使いめ。魔法使いならお金いっぱい出せるでしょ。私の剣買う時だって、めっちゃ高いの買おうとしてたし、これぐらい安いもの、払ってくれてもいいじゃない。

こうなったらあの時計を使おう!と思って時計を取り出したらウィザードがそれを制した。大きなため息つきで。

「こんなことで容易に魔法を使うな…」

「じゃあ買ってよ。」

「………ハァ」

さらに大きなため息をこぼし、それと一緒に仕方ねぇと愚痴もこぼした。これは作戦成功ね。私ってば、段々ウィザードの扱い方に慣れてきたかも。目指せ!ウィザードマスター!みたいな。


「今絶対馬鹿にしてただろ。」

「いやいや、滅相もございませんのよ。」

ガムをクチャクチャしながらぷーっと膨らましていき、パンッと弾けるとウィザードの手の中に硬貨が入っていた。どうやらウィザードは魔法を使うとき、ガムを膨らますらしかった。杖とかじゃないのと聞けば、んなもんめんどくせぇと言ってその硬貨を半分私に渡した。めんどくせぇってそんな夢も欠片もないようなことをいうくらいならもう魔法使いやめちまえ。アンタ魔法使いに向いてないわよ。

手元には100と書かれた銅貨が五枚と50と書かれた銅貨が十枚あった。つまり、1000§の手持ちがある。店に並んでいる団子らしいものは一本90§だから、ウィザードは結構たくさんお金をくれた。

「おい、離れるとまた迷子に…」

「うわっ!あれなに美味しそう!!」


視界にはいったお菓子のお店にあった、フワフワ浮いてる綿菓子みたいなものが美味しそうで、ウィザードが何か言いかけてた気がしないこともないけれど、まぁいいや。

「それ下さい!」

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