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↑逆転↓御斗戯世界

第11章 再び参上!第六王国

【Side: 璃斗】


とりあえず、私の横を通りすぎた背の高い男の人に話しかけてみた。さらさらの長い黒髪を緩やかに結んだ後ろ姿に、あの…と遠慮ぎみに話しかけた。人に話しかけるのははっきりいってあんまり得意分野ではないけれど、そんなことは言っていられない。

「はい、なんでしょうか?」


私の声で振り向いた男の人は、愛想の良い笑顔を浮かべて答えてくれた。いい人そうでよかった。

「あの、私達遠くから来たんですけど、どうしてもジリア王にお会いしたくて…」

完璧ね。このいかにも旅になれてなくて困っていますオーラを出せば、やさしい町人Aはきっとヒントを私達にくれるはず!

私の言葉を聞いたその町人Aさんは、目を閉じたまま─というかさっきからずっと閉じている─私とウィザードを観察するように見た。目元に、歌舞伎のように赤の化粧が施されていて、この町によくあっている。きっとこの町の人間なんだろう。若草色の着物も、色白の肌に似合っている。


にしても、私も誰かさんに似て直球過ぎたかしら?もうちょっと、お城にいきたいんですけど、ぐらいの謙虚さがあったほうがよかったかもしれない。まぁ、もう遅いけど。


町人Aは、顎に手をあて、私達を見て思案している。もしかして、私の変装ばれているのとか?そうだとしたら、そのまま連行されちゃうかもしれない。ヤバい。

「ねぇ、ウィザード。これヤバいかな?」

「かもな。」

相手に聞こえないくらいの小声で、隣のウィザードに話しかければ、ウィザードも同じことを思っていたらしく二人して苦笑いを浮かべる。どうしよう、もし捕まって死刑とかだっ

「私が連れていって差し上げますよ。」

「「え?」」

これまた超愛想のいい笑顔を浮かべて、町人Aはそう言った。思わず二人して声が出てしまった。この時の私はウィザードと二人で間抜けな顔をしていたに違いない。

「え、いいんですか?というかできるんですか?」

そんなに簡単に一介の町人が王に会えるとは思えないんだけれども…。

「大丈夫ですよ。私の家は農家でして、私の所の米は王宮御用達なんです。明日、
収穫したばかりの米を王宮に届けるので、そこについてこれば王にも会えますよ。」

「本当に!?いいんですか?」

「はい、どうぞ。」


その瞬間、彼の背後に後光が見えた。気がした。

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