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↑逆転↓御斗戯世界

第11章 再び参上!第六王国

【Side: 璃斗】


心やさしい青年は、кран(クラン)という名前で、鶴を意味するロシア語らしい。なんでもクランさんはここ出身じゃなくて、第二王国の生まれなんだって。

でも、鶴ときいて思い当たるお伽噺と言えば、《鶴の恩返し》しか思い浮かばない。もしかしてもしかしなくても、クランさんは鶴の恩返しの鶴さんなのかも。だとしたら、あんなに綺麗で優しいのも納得がいく。


さっき、別れ際に

「そう言えば、あなた方は旅の途中なのですよね?今晩の宿がまだ決まっていないのでしたら、よろしければ私の家の一室をお貸ししますよ。」

という仏様のような尊い言葉を頂いた。断る理由もなく、私達はクランさんの家にお邪魔することになった。ほんとクランさんマジ天使。

でも流石に、まだ昼だしこんな早くからお邪魔するのは悪いから、夕方になったらまた集合する、ということにして、今私達は城下町をぶらぶらと歩いていた。

あいかわらず、左右に並んでいる屋台の食べ物は美味しそうだけど、さっきあれだけ食べたから手を伸ばそうという気は起きない。ん?でもちょっとあの串焼き美味しそう………


「それにしても、さっきから見られてんな。」


そういわれてみると、ここに来た時ほどではないけど、なんだか少し視線を感じないこともない。

「アンタの格好が目立つんじゃないの?」

「まぁ、それもあるだろうが……“嫉妬”だろうな。」

は?

「よく言うだろ、リア充爆発しろって。」

いやいやいや。リア充って何、もしかして私達のこといってんの?いやいや、だって私が高校生で、ウィザードはたぶん三十路前ぐらいでしょ?はっきりいって犯罪臭くない?え、リア充に見えるわけ?というかよくそんな言葉知ってたわね。

「アリエナイアリエナイ (´・∀・)ノシ 」

まさにこんな顔文字のようなかおをして言うと、ウィザードはすこし眉をピクッとさせて言った。

「ここは第六王国だ。”嫉妬“を司る悪魔の国だぞ。」

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