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第11章 再び参上!第六王国

【Side: ウィザード】


リトのやつ、なんで俺が不機嫌なのか全くわかってねぇみたいだ。鈍いヤツ。

確かに現時点では俺はただの連れだが、仮にも─ほぼ無理矢理だが─キスした仲なんだから少しぐらい意識しろよ。こういう鈍い所は全く変わっちゃいない。

それにさっきからこの家主、クランとかいう胡散臭い笑みを浮かべた男のことばかり話すし、出された料理は確かに旨かったが、そんな絶賛するほどかよ。俺だってマジになればフルコースだって作れることをリトは知らない。以前作った時は少しばかり失敗したけどな。ほんと、少し。

髪が綺麗とか、着物が似合ってるとか、優しいとか、ベタ褒めだし、こんなやつのどこがいいのか俺にはさっぱりだ。


俺が不機嫌なのはもうひとつ、気になることがあるからだ。

なんとなく、こいつはなにか隠している気がする。具体的におかしなところとか怪しいところがあるわけではないが、どこか信用できない。決して嫉妬からくる敵視ではない。


「申し訳ないんですが、こちらの部屋は開けないでもらえますか?」


さっき寝床を案内してもらう途中、クランが、他と何ら変わらない襖をさしてそういった。リトは一瞬不思議そうな顔をしたけど、あんまり追求はしない方がいいと考えたのか、もしくはクランになついているせいか、わかったわ、と納得していた。


俺もあまり深くは探りを入れない方がいいと考え、わかったとだけ言っておいた。もし相手が敵だったとして、俺が怪しんでいることに気づかれたら先制攻撃できない。ここはとりあえず、あくまで何も気にしていない素振りをするのが賢明だ。

まぁ、コイツが悪いヤツかどうかもわからねぇしな。今のところ、親切にしてもらっているからやっぱりいいやつなのかもしれない。


「お二人の部屋は別々にしておきますね」


チッ………気はきかねぇみたいだけどな。

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