↑逆転↓御斗戯世界
第2章 始まりはいつも突然
【Side: 璃斗】
となりの威王の手を掴み、ぐいぐいと意識をこちらに向けさせれば、威王はビクッと肩を震わせ、放心状態から抜け出した。こいつのこんな顔、初めて見た。
「に、逃げなきゃ…!」
威王が顔を真っ青にして痛いぐらいに手を握り返してくる。怖くて震えている私の手をしっかりと握り、威王が私を引っ張り人々の流れにそって脱出しようした時だった。
「おかあさんっ!おき、おきてよっ…!」
奥の方から女の子の声が聞こえた。傍らの動かない女の人の子供だとすぐにわかった。こちらに聞こえるくらいの大きな声だったが、周りは目もくれない。そりゃそうだ、こんな恐ろしい事態に直面しているんだから。
正直、私だって早くここから逃げ出したかった。その証拠に、無意識に足は出口に向かっていた。けど、と少女を見やった。
ホームに人はもう数えられる人数しかいない。しかもそのうちの三人はすでに動かない。ここにいたら、間違いなく犯人と接触する。そんなの脳内中二病という馬鹿な私でもわかる。現実はアニメやマンガとは違うなんて、痛いほど知ってる。
「お、おい璃斗!早く逃げなきゃ…!」
威王の切羽詰まった声がどこか遠くに聞こえた。私は震える足を叱咤して、足の方向を変える。これが母性本能というやつなのかな?
「お前、何、考えて…!?」
それに気がついた威王が声を震わせた。驚きに見開いた明るいブラウンの瞳が揺れている。
手に力がこめられる寸前に、私はその暖かな温もりから自ら愛別した。
となりの威王の手を掴み、ぐいぐいと意識をこちらに向けさせれば、威王はビクッと肩を震わせ、放心状態から抜け出した。こいつのこんな顔、初めて見た。
「に、逃げなきゃ…!」
威王が顔を真っ青にして痛いぐらいに手を握り返してくる。怖くて震えている私の手をしっかりと握り、威王が私を引っ張り人々の流れにそって脱出しようした時だった。
「おかあさんっ!おき、おきてよっ…!」
奥の方から女の子の声が聞こえた。傍らの動かない女の人の子供だとすぐにわかった。こちらに聞こえるくらいの大きな声だったが、周りは目もくれない。そりゃそうだ、こんな恐ろしい事態に直面しているんだから。
正直、私だって早くここから逃げ出したかった。その証拠に、無意識に足は出口に向かっていた。けど、と少女を見やった。
ホームに人はもう数えられる人数しかいない。しかもそのうちの三人はすでに動かない。ここにいたら、間違いなく犯人と接触する。そんなの脳内中二病という馬鹿な私でもわかる。現実はアニメやマンガとは違うなんて、痛いほど知ってる。
「お、おい璃斗!早く逃げなきゃ…!」
威王の切羽詰まった声がどこか遠くに聞こえた。私は震える足を叱咤して、足の方向を変える。これが母性本能というやつなのかな?
「お前、何、考えて…!?」
それに気がついた威王が声を震わせた。驚きに見開いた明るいブラウンの瞳が揺れている。
手に力がこめられる寸前に、私はその暖かな温もりから自ら愛別した。