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第4章 深いのはお好き?

【Side: ウィザード】

リトの野郎、ビビったのか、初めてが奪われて興奮してたのか知らねぇけど、いきなり俺の頬に張り手を繰り出してきやがった。女とは思えないほどいてぇ。だってかけていたお気に入りのサングラス(税込12098円)が吹っ飛んだんだから。それにガムも飲み込んじまった。

俺も暫くは呆然としていたさ。だけど、やっぱり面白くない。全くもって面白くないぞ。記憶がないとはいえ─。

まぁ、その反面、初めてが俺でよかったと心底思っていたりする。あっちの世界で恋人なんて作っていたら、俺はそいつを…。なんて物騒なこと考えてしまう。

ようやく頬のじんじんとした痛みに、意識を回復させ目の前のビンタ女を盗み見る。

(こいつ、音を気にしていやがる…)

リトの意識は、周りに響くあの轟音に囚われていた。それに関しても面白くない。

(少しぐらいなら…)

苛めてやろう、と俺の中のS心が芽生えた。これぐらいの暇はある、よな?それに、“今回”が最後になるんだから。

リトの腕を掴み、自分の方に引き寄せる。腕をつかめば、もうビンタはできないだろう。

というか、こんなことしたら抵抗することもできないと思うな、こいつの場合。

やっと意識がこちらに向いたリトの驚いた顔を一見して、そのまま再度キスをしてやった。

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