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第5章 邂逅!かぐや姫(仮)

【Side:? 】

「と、取れました!」

数秒かかってようやくその声が聞こえた。この阿呆は布をほどくのにもこんなに時間を要すのか、役立たずめ。

目の前にいる女の目隠しを取ろうと思ったのはただの気まぐれだ。ジュリエッタとの戦争中だが、ここまで進軍できるはずもない。奴は財力と実力はあるが、欠けているものが多すぎる。

鳶色の髪を流し、頭には真っ赤な髪飾りのようなリボンがある。年はまだ成人前ぐらいだとわかるが、目隠しのため顔はあまりわからない。

戦場のど真ん中で気絶する女としか聞いていなかったから、部屋に入ってきたとき、正直驚いた。どんな喪女、もしくは屈強な女戦士がででくるのかと思いきや、変わった服を纏った少女だった。

早く顔が見てみたい。何故かそう思った。

「取れ。」

静かに家来の男が頷いた。周りが片巣を飲んで見守っているためか、女も緊張したのか、こくりと喉が動いた。

そして、するすると外され、古びた布から女の顔が露になった。

蒼海の色をした瞳と目が合う。

その透き通るような蒼色の瞳を見たその一瞬、何故か俺は懐かしさを感じた。そして次に感じたのは、久方ぶりに味わう鼓動の高鳴りだった。

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