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第7章 絶望と希望

【Side:威王】

またか、と思った。

俺の携帯はひっきりなしに鳴り続いてる。クラスメイトが俺のことを心配しているんだ。一回も出たことはないけど。同情や励ましを受けたって、俺はきっと元のように振る舞うことはできない。

電話が鳴っているのを、他人事のように見つめる。剣をとりー、屍越えーと璃斗の好きだったアニメの主題歌が部屋に流れる。

璃斗に会いたい。どうしたら会えるのだろうか?机の上のカッターナイフに視線が釘付けになる。

でも、それはすぐに着信を繰り返している携帯に移った。

俺は驚きで、久しぶりに体がカッと熱くなった。俺の昔からの癖で、興奮するとすぐに体が熱っぽくなる。今まさにそれだ。

俺をそうさせているのは、目の前で着信している携帯、もっと詳しく言えば、その着信音。

この着信音は、璃斗が消えるその1ヶ月前に、璃斗が自ら変えたものだった。俺がその時はまっていたギャルゲーの主題歌だった着信音を、無理やり俺から携帯を奪って勝手に変えたんだ。今、俺の部屋で流れているアニメのオープニングに。

俺が文句を言ったら、璃斗はこう言った。

大丈夫、私からの着信だけ、この音楽が流れるようにしたから。

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